青少年のための科学の祭典
-2015おもしろ科学まつり- 和歌山大会 開催にあたって
江戸末期に紀州藩士であった山葉寅楠は,高価な輸入オルガンを見て,「自分なら1/15の値段で作れる」と国産化に取り組み,5年後には英国に輸出しました.楽器メーカーのヤマハの始まりです.このような日本の素晴らしいものづくりの伝統は,現在にも続いています.ものづくりの基本は,進んだ科学技術によって高品質で安価な物を製造するのに加えて,「社会の役に立つものづくり」をめざすことにあります.そのために必要なことは,一般ユーザの言葉(ニーズ)を引き出して,それに応じて開発・製作したものをユーザに使ってもらい,レビューを受けて改善を加えることでしょう.ここで重要なのは専門的な知識や技術だけではなく,色々なバックグラウンドを持つ人々の間で意思疎通をするためのコミュニケーション力です.ニーズが作り手に十分に伝わらなければ課題は解決しないでしょうし,どんなに素晴らしい発明も,その素晴らしさがユーザに伝わらなければ受け入れてもらえません.もちろん,身の回りの小さなことにも気づく敏感さも不可欠です.
毎・N開催されるこの「おもしろ科学まつり」には,児童から大人まで幅広い年齢層の方々に来場していただいています.出展者も,小学校から大学までの各種学校の生徒・学生・教員や,その他科学に関心のある方々と様々です.普段の生活の中では目にしたり体験できない科学の実験,観察を用意して,来場者にそれらを見学,体験してもらい,科学のおもしろさ,楽しさを感じてもらいたいと考えています.小さなことでも,何かに気づいてその発見を持って帰ってもらいたいと思います.そして,一人でも多くの人に将来の科学者・技術者をめざしてもらいたいと思います.会場は今年も和歌山大学キャンパスです.大学ならではの出展も計画しています.この大会が,科学の真のおもしろさ,楽しさを理解し,探求心を持つ創造力にあふれた若者を育てることの一助になり,あわせて,異なるバックグラウンドを持つ人同士の交流の場にもなればと期待しています.
青少年のための科学の祭典・和歌山大会
実行委員長 石塚 亙
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